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3年C組

2026-04-10 — day 3
07:45登校
大輝
靴紐を結び直している
悠斗
欠伸を噛み殺している
翔太
階段を二段飛ばしで
イヤホンを片耳だけ外す
上履きに履き替え中
健太
自転車の鍵をしまう
窓の外を見ながら歩く
立ち話を切り上げて歩く
大地
鞄を肩に掛け直す
莉子
芽依の背中を目で追う
芽依
俯いて足早に通り過ぎる
七海
鼻歌が小さく漏れている
美咲
昇降口で立ち止まったまま
さくら
スマホをポケットに戻す
陽菜
髪を耳にかけている
結衣
教科書の数を数え直す
愛梨
下駄箱の前で伸びをする
美羽
傘立てを覗き込んでいる
教室(朝) — 芽依・莉子(見ていた: 大輝・悠斗・愛梨)

莉子、図書委員の返却リストを片手に芽依の机に近づく。

莉子「芽依、昨日の返却分、まだ出してないよね」

芽依「あ、ごめん。今日中に出す」

芽依、鞄からノートを取り出しながら視線を逸らす。

莉子「なんか眠そうだね。夜更かし?」

芽依「別に。ちょっと考え事してただけ」

莉子、首をかしげるが、それ以上は聞かずリストに視線を戻す。

莉子「そう。じゃあ昼までに図書室、お願い」

芽依、小さく頷いて窓の外に目をやる。

莉子、リストの次の名前へ、そのまま隣の机へ移る。

昇降口 — 美咲・蓮(見ていた: 悠斗・愛梨)

渡辺美咲、上履きに履き替える。ローファーを下駄箱に押し込む音が響く

佐々木蓮、少し遅れて登校し、あくびをかみ殺しながら隣の列に立つ

「……眠い」

美咲「寝てないの、また」

「配信、じゃなくて、ゲームの方。深夜まで」

美咲、靴紐をほどく手を止めずに小さくうなずく。それ以上は聞かない

「渡辺さんは早寝派?」

美咲「別に。人並み」

下駄箱の扉が閉まる音。二人とも上履きのまま昇降口を離れ、別の方向へ歩いていく

12:30昼休み
大輝
弁当箱、開けたまま止まる
悠斗
牛乳パック、机で潰す
翔太
笑い声、一番大きい
窓の外、なんとなく見る
スマホ、無言でスクロール
健太
おにぎり片手に鉄棒へ
本のページ、めくらない
欠伸を噛み殺している
大地
大盛り、あっという間に完食
莉子
愛梨の話、相槌だけ返す
芽依
陽菜の一言、聞こえない振り
七海
笑って、また笑う
美咲
眠そうな目で外を見る
さくら
ノート、次のページへ
陽菜
水槽を覗き、そっと離れる
結衣
お茶、少しずつ飲む
愛梨
莉子と目を合わせない
美羽
机に頬杖、目を閉じる
教室・購買 — 愛梨・莉子(見ていた: 大輝・悠斗)

購買前、パン棚の列に愛梨と莉子が並ぶ。昼休みの人波でレジ前が詰まっている。

愛梨「莉子、焼きそばパンある?」

莉子「もうないですね。残ってるのメロンパンとコロッケパンだけ」

愛梨がコロッケパンを一つ取り、値札を見て財布を開く。

愛梨「ねえ、芽依のことなんだけどさ」

莉子「夜更かしの理由、聞いてもはぐらかされました」

愛梨「だよね。うちが聞いたときも流された」

莉子が小銭を数え直す。列が一人分進む。

莉子「深追いしない方がいいタイプかもです、あの子」

愛梨「そうかもね。でも気になるっしょ」

教室の窓際 — 芽依・陽菜(見ていた: 悠斗・愛梨)

昼休み。窓際、芽依が頬杖をついて外を見ている。陽菜が水槽の横からじょうろを提げて通りかかる。

陽菜「芽依ちゃん、めだかの水換えた日って覚えてる?水曜だっけ」

芽依「火曜。昨日やったばっかり」

陽菜「あ、そっか。じゃあ今日はいいんだ」

陽菜がじょうろを窓辺に置き、水槽を覗き込む。芽依は視線を戻さない。

陽菜「芽依ちゃん、今日ちょっと元気ない?」

芽依「別に。寝不足なだけ」

陽菜「ふーん。大輝くんもさっき同じこと言ってた。示し合わせたのかと思った」

芽依の頬杖の指が一瞬止まる。陽菜は気づかず水槽の水草をつつく。

芽依「……そういうの、いちいち報告しなくていいから」

16:10放課後
大輝
ボールを止める練習、黙々と
悠斗
昇降口で靴を履き替える
翔太
自転車の鍵を回す
イヤホンを片耳だけ外す
トラックを黙々と流す
健太
傘立てで傘を確認する
議事録のページをめくる
欠伸を噛み殺して歩く
大地
プランターに水をやる
莉子
廊下でふと足を止める
芽依
楽譜を睨んで指が止まる
七海
ネット越しに結衣を見る
美咲
欠伸をこらえて廊下へ
さくら
台本の同じ行を読み返す
陽菜
水槽のガラスを指でなぞる
結衣
ボールを何度も見送る
愛梨
エプロンの紐を結び直す
美羽
下駄箱の前で欠伸ひとつ
バレー部 — 七海・結衣

体育館、対人パスの列。結衣のトスが浮いて、ネットの外に転がる。

「七海」

結衣がボールを拾いに走り、列に戻る。次のトスも同じくらい高い。

「七海」

「結衣」

七海、笛を首から外して結衣の顔を覗き込む。結衣は目を逸らしてボールを拾い直す。

「結衣」

七海はそれ以上聞かず、笛を吹いて次の組を呼ぶ。結衣は列の後ろで水筒に手を伸ばす。

「結衣」

七海は答えず、コート中央でボールを構え直す。

22:30
大輝
送信済み、返信はまだ
悠斗
天井を見ている
翔太
スマホの充電を確認
机に伏せて考え事
イヤホンで音楽を聴く
健太
腕立て、あと十回
問題集を開いたまま
布団の中でスマホ
大地
腹筋の途中で一息
莉子
大輝のDM、開いたまま
芽依
下書き、四つとも消えた
七海
(結衣、大丈夫かな)
美咲
参考書のページを繰る
さくら
爪の色を眺めている
陽菜
水槽のライトを見つめる
結衣
今日のミスを反芻中
愛梨
莉子とのDM、既読のまま
美羽
漫画を読みかけで置く
DM — 愛梨・莉子

莉子「芽依、今日も朝から静かだった。昼休みも机で寝たふりしてた」

愛梨「寝たふりは草。莉子、よく気づいたじゃん」

莉子「気づいたというか、目が開いてた。3回瞬きしてた」

愛梨、スマホを両手で持ち直す。既読はすぐつくが、返信までの間が長い

愛梨「あたし的には大輝くん絡みだと思ってる。名前出た時の反応が露骨すぎ」

莉子「そこ、自分は正直わからなかった。愛梨の観察の方が当たってる気がする」

愛梨「深追いはしない。向こうから言うまで待つのがうちの流儀」

莉子、了解のスタンプだけ送る。会話はそこで途切れる

00:40深夜
大輝
送信済み。既読が来ない
悠斗
(眠っている)
翔太
冷蔵庫の前で牛乳を一口
スマホの明かりだけの部屋
(眠っている)
健太
(眠っている)
(眠っている)
また消灯し忘れている
大地
(眠っている)
莉子
(眠っている)
芽依
打っては消す、四回目も未送信
七海
(眠っている)
美咲
机の電気だけがついている
さくら
(眠っている)
陽菜
(眠っている)
結衣
(眠っている)
愛梨
(眠っている)
美羽
(眠っている)

夜の机の中

大輝 → 莉子 (1通だけ送信)
「莉子、今日昼休み何やってたの?なんか気になって」
削除理由: 詮索っぽい。これじゃ尋問だ
「莉子さ、今度部活休みの日あったら」
削除理由: その先が続かない。何を誘う気だよ自分
「今日のさ、昼の件気にすんな。それだけ」
削除理由: 何の話か莉子に伝わらない。一人で分かった気になってた
「また今度、飯とか行けたら行こうぜ」
→ 送信 — 言葉少ないけど送った。既読ついたらついたでいい

打てるだけマシだ、今日は。

芽依 → 大輝 (全て削除)
「ねえ大輝、話したいことあるんだけど」
削除理由: 「話したいこと」が重すぎる。何の話か聞かれたら詰む
「最近ずっと思ってたんだけど、大輝のこと、、」
削除理由: 三点リーダで濁した時点で負け。打ち直す気力もない
「あのさ、今度二人で話せる時間ある?」
削除理由: 莉子に勘づかれてる今、動いたら余計こじれる
「ううん、なんでもない。おやすみ」
削除理由: 結局これが一番自分らしい。だから消した

下書きの数だけ、言わなかった自分が増えていく。

日記

「莉子は何も聞き返さなかった。助かった、が近い。大輝の名前が出た時だけ、頬杖の指が一瞬止まったのを誰にも見られていないといい。」
— 芽依の日記
「芽依の様子、変。深追いはしなかった。ノートは今度こそちゃんと返してもらう。」
— 莉子の日記
「朝、蓮と昇降口で寝不足の話だけした。それでよかった。」
— 美咲の日記
「美咲と朝また会った。眠い話しかしてない。それでいい。」
— 蓮の日記
「購買の列で莉子と芽依の話。既読はついたまま、返事はまだ来ない。」
— 愛梨の日記
「水槽の掃除のとき、芽依が一瞬固まった。ぴょん七には話しておいた。」
— 陽菜の日記
「目を逸らした。理由は言わなかった。七海は聞かなかった。」
— 結衣の日記
「結衣、今日は上の空だった。ミスも多め。聞かずにおいた。」
— 七海の日記